なんで火星人はタコなの?
しかし、チコちゃんは知っています。
ウッカリして、ウッカリして、ドッキリしたから~。
教えてくれるのは慶應義塾大学 文学部 教授
巽 孝之さん発祥はヨーロッパで火星が注目されたことなんです。
昔から火星は人類にとって非常に親しみがわく惑星でした。
1877年イタリアの天文学者・スキアパレッリが望遠鏡で火星の表面に細い模様がたくさんあるのを発見。
彼はこの模様をイタリア語で「Canali」カナーリ=溝と呼び論文を発表。
諸説ありますが、これをウッカリ誤訳したのがフランス語に翻訳したフラマリオン。
火星の溝とイタリアのベネチアの運河が似ていると思い「Canal」=運河と記しました。
つまり火星に人工的に造られた運河があるということは、火星人がいるということになったのです。
それから、アメリカ人の天文学者バーシバル・ローウェル、かれの豊かすぎる想像力が火星人をタコへと近づけていったのです。
1894年大富豪だったローウェルは私財をなげうってアメリカ・アリゾナ州に火星の運河を観測するため天文台をつくってしまったのです。
ローウェルは20年にわたって火星を観測しその溝を運河と信じ込みスケッチします。
彼の信じたい気持ちはエスカレートしていき、ついには運河に名前をつけるようになり、観測を続けるうちに「火星にはきっと高度な知的生命体がいるに違いない!」と勝手なイメージを膨らませて火星人の存在を主張しました。
巨大な運河を造れる→脳が発達 頭が大きいはず。
重力が地球の1/3ほどだから脚は細いはずだとかさんな想像でもしたのでしょうか。「火星人は肉体の限界を超えるほどの頭脳を持つはずだ、かなりグロテスクであろう。」
このように、ウッカリがウッカリを呼び人々は火星人は頭が大きくグロテスクなものと思い込んでいくのです。
そのローウェルが書いた火星の本を読んだのがイギリス人SF作家 H.G.ウェルズ。
1898年ローウェルの本をヒントに後に大ヒットとなるSF小説「宇宙戦争」を出版しました。
そのときにウェルズが描いた火星人はタコに似ていました。
この小説は1938年10月30日ハロウィーンの前夜。
アメリカで小説「宇宙戦争」がラジオ番組として放送されます。
音楽が放送される中、突然緊急のニュース速報が飛び込みます。
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これがドッキリでした。
「音楽の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。
午後8時50分正体不明の巨大な光る物体がニュージャージー州の農場に落下しました。
怪物がはい出てきました!
どんどん出て来ます。人々が襲われて燃えている!こちらにやってくるぞ!」
聞いていた全米100万人は本当に火星人が攻めてきたと信じ込み大きなパニックになったんです。
まさに全米を揺るがすほどの大事件だったと。
SF小説「宇宙戦争」は日本にも輸入され昭和に入って少年雑誌に火星人が襲来するSF小説が多数連載されるんです。
子どもたちはタコの姿をした火星人に心を奪われました。
こうして日本人にも火星人イコール・・・。
なんで火星人はタコなの?
ウッカリして、ウッカリして、ドッキリしたから~。
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