結婚に三度失敗したもとは過去生にあった
仏教では、人は過去生でおかした罪は、どこかの生で受けることになるが、その出方は人によってまちまちである。順現、順次、順後、順不定の現れかたのどこかで受けなくてはならない。
その罪の大小によって受ける結果も違ってくるわけである。
本人は過去生のことなどわからないために、いままで何にも悪いことはしてないのに何故こんなにこんな目に遭うのだろうか? と、悩み苦しむことが多々ある。
ここにお釈迦さまの時代にも、どうしても結婚生活がうまくいかなかった一人の女性の物語りがある。
イシダーシーの苦悩
それは、お釈迦様のご在世の頃、一人の長者の娘でイシダーシーという美しい娘がいました。
やがて、年頃となり、名門の豪商との結婚が決まりました。
結婚後イシダーシーは本当に怠けることなく真心から夫や義父母に仕えました。
しかし、どういう訳か夫は彼女が一生懸命に尽くせば尽くすほど、だんだん嫌になってくるのです。
イシダーシーも何も嫌われる心当たりがありませんでした。しかし、夫の意思は固く、とうとう別れることになりました。
実家に帰り落ち込む娘に、哀れに思った長者は、前ほどではないもののかなりの資産家のところへと嫁がせました。
しかし、しばらくすると次の夫もイシダーシーを激しく嫌い、またしても戻されてしまったのです。
今回もなにも落ち度もなかったのです・・・。

二度も出戻りしたのでは、なかなか嫁にもらってくれるところもありません。
ある時、托鉢に来た沙門に長者は頼み込んで、結局イシダーシーと一緒になってもらいました。
しかし、これも半月ほどでもとの沙門に戻ってしまいました。
やはり、イシダーシーと一緒に暮らすのだけは嫌ということだったのです。
すっかり自分が嫌になったイシダーシーは死を考えるまでに悩み苦しみました。
そんな時、一人の尼僧が托鉢にやってきました。お釈迦様の弟子の一人でジナダッターといいました。
イシダーシーは自分の業の深さは出家しなければ滅ぼせないと、ジナダッターに頼み、お釈迦様のもとへいき、出家しました。
もう命に対する執着もないイシダーシーは一心に修行し、どんどん向上しました。
そして、行にはいり七日目にして六神通を獲得したところで自分の過去七生を思い出し、今生における苦悩の原因を知りました。
不幸の原因を知る
それは、ある金細工師の若者が祈りの中に見えました。それが自分であるとイシダーシーには直感でわかりました。
彼は若くして成功し、得意になっていました。そして客の一人である富豪の若い奥さんと不義の関係となってしまったのです。
若者は人気もあり、言い寄ってくる女性も多かったことから、あまり罪とも考えていなかったようです。
そして、金細工師の生が終わるとイシダーシーは地獄へ落ち、長い間苦しみを受けました。
そして、ようやくこの世に生まれると、猿として生まれました。しかも、生後七日目にしてボス猿に去勢されてしまいました。
前世で他人の妻と交わった報いだったのでした。
猿の生が終わるとヤギに生まれまた去勢されてしまいました。それから十二年間働かされ、今度は牡牛として生まれました。
今度も幼いうちに去勢され盲目となるまで働かされました。
そして、ようやく人間として生まれたのですが、両性具有の体で差別を受けなければなりませんでした。
三十歳で亡くなり、次に極貧の娘として生まれ、やがて借金の形に隊商に連れて行かれました。
その隊商の息子の第二夫人となり、心から尽くしましたが、また、夫から捨てられてしまいました。これらもみな過去に犯した業の報いだったのです。
こうして、イシダーシーは七回前の前世に苦しみのもとがあることを祈りの中に知ったのでした。
これを見て、弘法大師 空海の『生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く 死に死に死に死んで死の終わりに冥し』という詩を思い出す。
人は輪廻を繰り返しぬけ出すすべを知らないという。
しかし、現代では不倫とか、あたりまえに聞くが、もしイシダーシーのような過去生を送ると知っていたなら大分世の中も変わっていただろう・・・。
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