林先生が聴く、公立中学校の大胆改革!
林先生が今、一番会いたい教育者に直撃。
明治時代から続いてきた日本の学校教育。
令和を迎える今・・・
ある中学校が変えようとしている。
日本の学校教育に一石を投じあまりに大胆な改革が千代田区立麹町中学校。
ここで行われている新たな教育。
◯宿題の廃止
◯定期テストの廃止
◯クラス担任制の廃止
ここの工藤校長は最近よくある民間登用の校長先生ではないんですよ。教育委員会に勤めてらっしゃった時もあり、2014年に麹町中学校の校長に赴任してからは次々と改革を実行されていると。
公立中学校がなぜ大胆な改革を行うのか?
現代教育の考え方があったのです。
①宿題の廃止
②定期テストの廃止
③クラス担任制の廃止
①宿題の廃止
林先生 宿題を廃止された?
工藤校長 宿題なんて意味ない。
林先生 僕もそれはずっと言い続けてますけど。
現役の校長らしからぬ発言・・に聞こえますが。
林先生も納得の考え方がありました。
自分の人生を自分で考えられるような年頃。
例えば同じ漢字を30回ずつ書いてきなさいとか同じ単語を30回ずつ書いてきなさいにということは、修行でしかない。
林先生 そうですよね。
工藤校長 膨大だから子供がやるのはどうやってこなすか?だけ考える。
質なんてどうでもいい。
勉強の習慣をつけさせる。
学習の習慣をつけさせる。
ことが大事だっていってますよね。
じゃあ・・・。
何もやることが無いのに机に向かう事か大事か?って僕が聞きたいですよね。
林先生 そうですよね。
宿題を何で出すのか?根本から考えてみたらその単元が分かっているかどうか、その分野の理解を深めるため。
でも実際には、わかっている子ども達もやらないといけない。
分かっている子の宿題に何の意味があるのか?
また逆にできない子どもは宿題を出されてもわからない。
そうすると人の解答を写して提出というようなこともありますよね。
本来の目的
「単元の理解を深める」を失った宿題は廃止しましょうと。
②定期テストの廃止
工藤校長 定期テストの廃止は学力を伸ばすため。
定期テスト廃止後の成績
数学が苦手だった生徒の成績がUP
全体の学力が底上げされる。
テスト廃止でなぜ学力が伸びたのか?
工藤校長 今の日本の教育は情報を与え続けて、記憶してペーパーにアウトプットする。この能力の長けている人が大学に合格していく。
一番大事なのは、子ども自身が「勉強したい」と思うか。
この考え方から、定期テストの代わりに導入したのが単元テスト【単元終わりで行う小テスト】
ポイントは一度受けた後にテストの再チャレンジが可能。
宿題をなくしたのは再テスト制とセット。
林先生 なるほどなるほど。
工藤校長 1回目単元テストをしました。自分は70点しか取れませんでした。でも、再テストを受けさせてくださいって子どもが自分で申し出てくると、2回目の日にちが決まって再テスト。
林先生 それも自己申告?
工藤校長 自己申告です。
受けさせてるんじゃない。70点だった子どもは30点分の分からなかったところを調べてくる。勉強は分からないものを分からせる事。
分かるようにするための努力をする。仲の良い友達に聞こうか、あいつに聞いても分からないから違うやつに聞かなきゃいけないかな?
「調べて分かるかな」とか工夫します。
で、工夫して何らかのアクションを起こして分かるようになった。
これが自分の経験になるので次の行動に変化が出ます。
宿題の廃止
定期テストの廃止
この2つの改革に共通する考え方に林先生は強く共感。
公立麹町中学校
目的と手段が逆になっていた学校の教育を改革。
こういう慣習だからということで実際にいろんなことが行われている。ですからテストであるとか宿題というものはもう廃止したと。
勉強をやらされているうちは成績伸びない。
さらに工藤校長の改革は体育祭、文化祭、学校行事も改革。
工藤校長 うちの体育祭は変えた。子どもたちにあげた。子ども達に、体育祭という行事を全部あげるよ。と、最上位目標を達成してくださいって僕がミッションを与えるんですよ。
保護者とか教員とか大人は誰も楽しくなくていい。
生徒全員を楽しませてくれ。運動会が嫌で嫌でたまらない子がいる。その子も楽しめて得意な子供も楽しめるってことだからねっていいますね。
子ども達は悩むわけですよ。
林先生 悩みますねそれは。
工藤校長 この目標を与えられた生徒たちは1割の生徒の反対意見を尊重し話し合いの末、全員リレーを廃止したんです。
いままで体育祭が大嫌いだった子どもも「楽しかった」って言ってくれた。
これってすごい問題解決。
文化祭のほうは来た人を楽しませるというミッション。
文化祭のステージに立てるのは希望者全員ではなくオーディションで決定。
③クラス担任制の廃止
工藤校長 1クラスに固定した担任がいるっていう制度を廃止させた、いわゆる全員担任制。
学年ごとのスタッフ。
全員担任制は全国に広めたい。
学年の全教員で学年の全生徒を見る「全員担任制」。
イメージとしては医療の世界と同じ。子どもがある問題が起きたらその問題を最も解決しやすい人間が当たる。
子ども同士の喧嘩、もっと大きいトラブルでも、最も適しているだろうなって人をマネジメントしてあてがっていく。
先生それぞれの特性に合わせてマネジメント役の先生が配置。
林先生 実際にやってみて今までの成果は?
工藤校長 子ども達がクラスの比較をしなくなる。
「うちのクラスは良いとか悪いとか」全く言わなくなります。
子ども達であればこんなことを言います。「うちのクラスで問題が起こった」。
「仲直りができない」どんどんクラスが荒れていく。
これは担任のせいになる。今までだったら、そうなるとこのクラスは改善能力が無くなる。自己改善できなくなるんです。
林先生 なるほど。
工藤校長 人のせいにしている人間になってくる。
教教育を良くしていくためには全ての大人が当事者じゃないといけないし、もっといったら子ども自身が当事者になる仕組みを作っていかないと、人のせいにする事だけを覚える。
林先生 先生にとってもその制度は良い?
工藤校長 職員室の雰囲気は「子どもをどうする」って話題でいっぱいになります。
林先生 そっか共有できるんですね。
工藤校長 今までだったら「あの子問題だよね」といってたのが共有可される。
林先生 保護者の方は随分戸惑われたのでは?
工藤校長 えっとそれがね、「皆が見なくなるんじゃないですか」って心配する保護者もいました。
でも、僕が大事にしたいのは保護者もそうだけど「誰か良い教育をして」と期待ばかりしている。この構図が良くない。
僕が一番感じているのは世の中全体が人のせいににしている世の中に変わってきている。
学校も「言われた事をやりなさい」って子どもたちばかり育ててるから自分が当事者の意識が薄れていく。
林先生 日本社会全体から当事者意識が薄れている。そこを変えるためには、小さい頃から教育を通して子ども達に当事者意識を持ってもらうことが一番大事じゃないかというお考えのもとにとにかく生徒達が主体的に生徒のためになることを教師はとことんやっていく。ということを色んな面でやっていらっしゃる。
あと、またいいのが、みんな仲良くする必要はないっておっしゃるんですよ。
学校で「仲良くする必要はない」!?
学校って「みんな仲良くしよう」どうやったって仲良くなれない人がいるのが世の中。
じゃあその対立の中でどう解決していくか?考えようっていう方向なんですよ。
教育の最終目的はどこか?
社会に出てからより良く生きるその能力を身につける。そのために役に立つことはやる。
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